スマートウォッチが「無呼吸の可能性」を知らせても──通知を受けた人の約8割が受診していない、睡眠計測と行動に関する実態調査

健康

計測機器は「スマホアプリ」と「スマートウォッチ」が主流。身近になった睡眠データと“受診行動”の大きなギャップが浮き彫りに

スマートウォッチやスマートリングなど、睡眠状態を日々トラッキングできるウェアラブルデバイスやアプリが急速に普及しています。一般社団法人 いびき無呼吸改善協会は、睡眠計測を行ったことがある全国の20〜60代男女200名を対象に「睡眠計測と行動に関する実態調査」を実施しました。その結果、血中酸素レベルや呼吸の乱れから「睡眠時無呼吸の可能性」を知らせる通知を受け取った経験があるにもかかわらず、約8割の人が医療機関を受診していない実態が見えてきました。「数値は知っているが、具体的な行動には結びついていない」という、テクノロジー普及期ならではの新たな課題と、正しいデータ活用に向けたヒントをお伝えします。

調査背景

近年、ヘルスケアテクノロジーの進化により、個人の睡眠データを自宅で手軽に、かつ高精度に計測できるようになりました。最新の機器では、いびきの録音だけでなく、睡眠中の血中酸素ウェルネスや心拍変動から「睡眠時無呼吸の可能性」を推定し、アラートを出す機能も広く搭載されています。しかし、自覚症状や家族の指摘をきっかけとする従来の受診行動に対し、「機器のデータを起点としたアクション」がどの程度定着しているのかは明確ではありませんでした。当協会は、医療連携と正しい情報発信の観点から、「利用者はデータをどう受け止め、どう行動しているのか」を明らかにするため、本調査を実施いたしました。

調査サマリー

  • 睡眠の計測ツールは「スマートフォンのアプリ」49.6%、「スマートウォッチ」31.5%が多数
  • 計測結果で気になるのは「深い睡眠が少ない」24.9%、「睡眠時間が足りていない」21.1%
  • 「無呼吸の可能性を示す通知」を一度でも受け取ったことがある人は全体の17.0%
  • 通知を受けた層のうち、実際に「医療機関を受診した」人はわずか23.5%(約8割が未受診)
  • 計測後の対策は「スマホ時間を減らした」17.2%のほか、「特に何もしていない」層も15.7%存在

詳細データ

Q1:睡眠の計測に使っているものを教えてください

  • スマートフォンのアプリ:49.6%
  • スマートウォッチ:31.5%
  • いびきや寝言の録音アプリ:5.6%
  • ベッドや枕に設置するセンサー:2.6%
  • 睡眠計測機能のあるマットレス・寝具:2.2%
  • その他:8.5%

→ 日常的に持ち歩くスマートフォンや、腕に装着するスマートウォッチを利用している層が全体の8割以上を占めました。手軽に導入できるデバイスが、睡眠計測のハードルを大きく下げていることがわかります。

Q2:計測結果で気になった項目を教えてください

  • 深い睡眠が少ない:24.9%

  • 睡眠時間が足りていない:21.1%

  • 夜中に目覚めている回数が多い:11.6%

  • 寝つくまでに時間がかかっている:10.5%

  • いびきが記録されていた:9.8%

  • その他:22.1%(睡眠スコアが低い:9.5%、特に気になる項目はなかった:6.4%、呼吸の乱れが記録されていた:3.3% など)

→ 睡眠の「質(深さ)」と「量(時間)」に対する関心が最も高い結果となりました。また、中途覚醒やいびきといった、自分自身では気付きにくい客観的な指標にハッとさせられるユーザーも多い様子がうかがえます。

Q3:睡眠時無呼吸の可能性を示す通知や表示を受け取ったことはありますか?

  • 受け取ったことはない:55.5%
  • 似た表示を見た気がするが覚えていない:14.5%
  • そうした機能があるかどうか知らない:13.0%
  • 何度も受け取ったことがある:9.5%
  • 一度受け取ったことがある:7.5%

→ 約6人に1人(17.0%)が、無呼吸の可能性を知らせる通知を明確に受け取った経験を持っています。一方で「見た気がするが覚えていない」「機能を知らない」という層も一定数おり、重要なアラートが見逃されている可能性も示唆されています。

Q4:計測結果を見たあと、睡眠に関して始めた対策を教えてください

  • 寝る前のスマホ時間を減らした:17.2%
  • 特に何もしていない:15.7%
  • 就寝時間を早めた:15.4%
  • 枕や寝具を見直した:11.6%
  • 横向きで寝るようにした:10.1%
  • その他:30.0%(インターネットで数値の意味を調べた:9.5%、飲酒を控えた:7.1%、体重を意識するようになった:5.9% など)

→ スマホ断ちや就寝時間の調整など、個人の生活習慣の範囲でできる手軽な対策が上位に並びました。しかし、15.7%が「特に何もしていない」と回答しており、また別集計では、Q3で通知を受けた人のうち「医療機関を受診した」人はわずか2割強にとどまるなど、クリティカルなアラートが根本的な治療行動に直結していない実態が浮き彫りになりました。

Q5:睡眠計測の機器やアプリについて、知っていることを教えてください

  • 機種や条件によって精度に差がある:22.7%
  • 計測結果は医療機関での診断とは異なる:17.8%
  • 正確な診断には医療機関での検査が必要:17.6%
  • 無呼吸の可能性を知らせる機能がある:10.5%
  • 記録されたいびきの音を確認できる:9.2%
  • その他:22.2%

 多くの人が「スマートウォッチやアプリのデータは医療機関の診断に代わるものではない」という限界を冷静に理解していることがわかりました。機器の特性や精度に対するリテラシーは育ちつつあると言えます。

調査結果のまとめ

今回の調査では、スマートデバイスを通じた睡眠計測が身近になる一方で、「データを知ること」と「行動すること」の間に大きなギャップが存在することが明らかになりました。特に、睡眠時無呼吸の可能性という重大なサインを受け取っても、大多数が医療機関への受診に至らず、「生活習慣を少し変えるだけ」か「何もしない」という状態に留まっています。ただし、デバイスの精度限界を理解しているがゆえに、「あくまで参考値だから」とアラートを過小評価している可能性も否定できません。測れる時代だからこそ、そのデータをどう活かし、いつ専門家に頼るべきかという“受診への導線作り”が今後の課題だと言えます。

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